①工事の流れや工事の種類


建物の外壁を飾る塗装。しかし、塗装は単に美観のためだけに行うものではありません。塗装によって建物を守り、その資産価値を維持するという効果もあるのです。
ここでは、塗装工事の目的や手順について解説します。塗装工事は、29種類に分けられる建設業の1つであり、専門工事にあたります。
日常生活に近い工事のため、イメージしやすい方も多いのではないでしょうか。

本記事では、塗装工事について工事の種類や流れについて解説していきます。

★塗装工事を行うタイミング

塗装工事は建築時だけでなく、定期的に行う必要があります。

具体的な年数は使用する塗料の耐用年数によって違いがあります。
塗装における耐用年数(耐久年数)とは、塗料の保護効果が続く目安の期間ということを覚えておきましょう。
税務処理に関わる用語にも「耐用年数」という言葉がありますが、こちらは意味が異なるので混同しないように注意しましょう。
塗料にはシリコン塗料、フッ素塗料、無機塗料、ラジカル制御形塗料などがあり、それぞれグレードが異なります。
耐用年数は塗料内の成分の含有率によっても変化しますが、一般的にはシリコン塗料が10年前後で最も短く、無機塗料が15〜20年で比較的、持続期間が長いとされています。
いずれも10年程度で耐用年数が一区切りすることが多いため、戸建てについては「築10年で2回目の塗装」を推奨されるケースが多いです。
年数だけでなく、汚れやコケ、カビの発生状況や錆、木部の劣化などが見られる場合も塗装工事を行うべきタイミングといえるでしょう。

また、再度塗装工事を行う際は古い塗装を剥がす「ケレン」という作業や高圧洗浄などの作業の品質によって耐用年数が変化することも覚えておきましょう。

塗装工事の流れ

1. 高圧洗浄
まず、塗装を施す前に、高圧洗浄で外壁の汚れを落とします。外壁はきれいに見えていても、汚れがこびりついているもの。汚れは塗料の密着性を悪くし、仕上がりの美しさにも影響します。その汚れを落とすために、高圧洗浄機を使って洗い流します。
外壁の洗浄に使う高圧洗浄機は、洗車用の高圧洗浄機よりも高圧で水を噴射させることができ、単なる汚れだけでなく、劣化した塗膜もはがし落とすことができます。

2. 下地補修
外壁を洗浄したら、次は下地を補修します。建物によっては、壁面にクラックが発生していたり、外壁パネルの目地に施されたシーリングが劣化していたりすることも。このような場合、塗装の前に補修工事を行い、外壁を良好な状態にしておく必要があります。
例えば、劣化したシーリング材は丁寧に取り去り、新しくシーリングを施します。また、金属部分の錆はサンディングで削り落とし、下地を整えます。密着不良を起こしている古い塗膜も、サンディングによってきれいに除去し、新たな塗装をしっかりと施せるよう、下地を調整しておきます。

3. 下塗り
下塗りとは、塗装前の下処理のことです。塗装工事では、塗料の接着力を高めるため、さまざまな機能を持った下塗り塗料を使用します。
その種類はいくつかありますが、大きく分類するとシーラー、プライマー、フィラーの3種類です。それぞれについて簡単に説明しておきましょう。

・シーラー
シーラーは、塗料の染み込みを抑える下塗り塗料です。木材やコンクリートにそのまま塗装しようとすると、程度の差はあれ塗料が染み込んでしまいます。シーラーは、その染み込みを抑えるだけでなく、下地と塗料との密着性を高める作用もあります。

・プライマー
プライマーは、外壁塗装以外にも下地処理剤として広く使われているものです。下地と塗料とのあいだの接着力を高める効果があります。
また、金属下地の錆を抑制させる効果のある防錆プライマーもあり、錆止め塗料として使われています。

・フィラー
フィラーは、シーラーやプライマーと同様の機能を持ちながら、粘性が高いために外壁のひび割れを埋める働きもある下塗り塗料です。下地にクラックや凹凸がある場合には、フィラーがよく使われます。4. 上塗り

下塗りを施した施工面に、仕上げとして塗料を塗る工程が上塗りです。一般的には2回に分けて上塗りを施すため、1回目の上塗りを中塗りと呼ぶ場合もあります。実際に、上塗りを何回行うかは塗料の性質によって変わります。
最終的には、上塗りによって建物の外観が決まるわけですが、きれいな仕上がりを得るためには、下地処理や下塗りをしっかりと施工しておくことが重要になります。この上塗りが終われば、塗装工事の工程は完了です。

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